先週は、筑紫野市吹奏楽団の「ファミリーコンサート2023」でした。午前の部と午後の部と2回公演で、大変疲れましたが、子どもも多く満席の会場で、お客様も楽しんでいただけている様子が伝わってきたとても良い演奏会でした。
それでは、解説に入ります。
全体的に大変シンプル作りになっていると思います。それだけに盛り上がりに欠けると感じる方も多いのではないでしょうか?この曲を演奏するにあたっての全体的な注意点は下記を参考にしてください。 ① まずは強弱記号の移り変わりに注意を払ってください。pp(ラストの音のみ)~mp、mf~ff、の区分けが明確です。音量や響きの差をしっかり表現しましょう。 ② メロディとオブリガードはユニゾンが多いです。しかし2声・3声に分かれる箇所もありますのでどの部分が何声になっているか把握しておきましょう。声部が多くなると音楽の広がりを感じさせる印象がありますが、メロディそのものを演奏している人数は減りますので、逆に音が萎んでしまうことが多くなります。 ③ 和声はとてもシンプルです。場所によっては2音しかないこともあります。基本は3声だと思っていてください。音の種類は少ないのですが、特にメロディがユニゾンになっている部分ではバランスに大きな差がある箇所が多いので、響きが生まれない可能性があります。 ※ 以上のことから、いかに減点が少ない演奏にできるかがカギだと思います。
それでは、部分的に区切りながら解説します。
★ 冒頭~Aまで
・冒頭は緊張感を持って入ってください。無造作に指揮するとクリアさが失われます。SDと木管の16分音符を正確にそろえることが大切です。木管は2声になっていますので、上下のバランスもしっかりとってください。F音スタートが少ないので人数調整をしましょう。
・最初の4小節はFコードが繰り返されます。この響きを安定して出してください。特に2小節目と4小節目4拍目のTrb2のA音はASax2やTrp2のオクターヴ下です。強すぎる可能性が大です。
・5小節目のHrn1のG音、6小節目のHrn2のF音は、演奏しているのが1パートだけです。響きが作られているか検証してください。
・7小節目5拍目にアクセントがあるのはSDだけです。
・この部分全体でBassパートとBD・Cymbが同じリズムです。fですがBassの音を殺さないよう音量を調節してください。
★ A~B
・この間、メロディもオブリガードもすべてユニゾンになっています。まずメロディとオブリガードのバランスを考えましょう。FgやAClがない団体は多いと思います。この場合、メロディのClはユニゾンですのでAClの楽譜をフォローしても良いのではないでしょうか。
・次に和声的なバランスについてです。1パートのみの音が多数ありますので列挙します。2小節目1&3拍のHrn1のA音、3小節目1拍のTrb2のG音、4小節目1&3拍のHrn1のF音、6小節目4&6拍のHrn1のG音、7小節目4&6拍のHrn1のF音、9小節目3拍のHrn1のF音、10小節目のHrn2のD音、11小節目4拍のHrn2のH音、12小節目1拍のHrn2のC音(ここは前のH音からC音への変化が大切ですが、F音の連続が強すぎて聴かせるのが難しくなっています。)、同じく12小節目4拍目のHrn1のF音とHrn2のD音、13小節目1拍のTrb1のC音、14小節目4&6拍のHrn1のF音、15小節目1拍のHrn1のE音(ここもF⇒E音への変化が大切です。)
・最後の2小節はとてもシンプルです。15小節目4拍目はB・C音のみ、16小節目1拍目はA・C音のみ、4拍目はF・G音のみと2種類の音しかありません。2音のバランスを取りながらcrescしてください。そして6拍目は一瞬G音のみとなります。ここに濁りが生じないようしっかり練習してください。
★ B~C
※ ここまでの部分と大きく違うのは、メロディやオブリガードがユニゾン・2声・3声と変化していく点です。メロディやオブリガードを和声的にするのは音楽を豊かに広げたいという意図が見えますが、反面最も主要な旋律は人数が少なくなり逆に弱奏に聴こえてしまう危険があります。
・冒頭のメロディはアウフタクトから3拍目までユニゾンです。4拍目から2小節目までは2声ですが、G音でスタートする下のパートはかなり少なくなっています。この間、Trb・Eupのオブリガードも2小節目の頭のF音を除いて2声になります。
・3~4小節目は、メロディにTrb・Eupが絡んで4声になっていますので、おそらくここを広げたいのだと思います。しかしメロディのパートは4小節目の3拍目から5小節目の3拍目まで突然ユニゾンになりますので、人数を調整するなどして音量を控えないとこちらの方が強く聴こえてしまうでしょう。Hrnの伴奏がメロディに連動して和声を作っていますが、特にHrn1のF⇒Fis⇒Gという半音進行は重要なのに聴こえにくいでしょう。
・5小節目4拍目~8小節目1拍目は1~4小節目で言いたいこととほぼ同じです。違うのは6小節目3~6拍目が3声になるくらいでしょうか。
・8小節目3拍目からメロディの動きが特徴的です。まず2声でスタートし、9小節目3拍目だけ全員B音です。4拍目からすぐに2声になり、その後8分音符の動きはユニゾン、長い音符は和声的になっています。特に9小節目3拍目のB音、11小節目3拍目のA音、14小節目3拍目のD音、6拍目のE音の4箇所は他の音が存在しません。全員で演奏するよりも音程を最優先に人数を削ったほうが賢明だと思います。和声の要素がある部分もユニゾンの人数が多すぎて、極端に少ないパートが多々あります。メロディの人数をセーブしてでも和声の要素が聴こえるようにした方が良いと思います。
・Bassパートはメロディ以外の音で和声を支えているケースが多いと思いますが、とにかく人数が少ないので存在感を出す必要があります。しかし、ここも練習番号Aと同様BDとCymbが同じリズムで入ってきます。fであってもPercの音量は考える必要があるでしょう。
★ C~D
・冒頭のCymbは、それまでfで奏しているので聴こえるけれどもpでの表現が難しいと思います。サイズは18インチ以下のものしか使えませんね。
・1~3小節のCl・ASaxの動きはユニゾンです。それだけでなくTrpも同じ進行になっています。Trp3とTrb1&2(2ndは最初の2拍だけ)はC音の連続です。これに対してTrb3とEupの下行形は2パートのみ、Trp2の3つ目の音からのE・F音、同じ位置のTrb2のB・A音は単独です。人数に大きな差がありますので和声的に聴こえるか確認してください。
・3小節4拍目~4小節3拍目は木管とTrpだけなら2声でTrb3とEupが入って3声になります。4小節4拍目の和声は全体的に3声になっています。ここもバランスに問題がないか確認してください。
・4小節4~6拍目にはcrescがあります。他のパートは4拍目に入る時点で音が広がればいいと思いますが、SDだけは細かいリズムがありますので4~6拍のcrescを聴かせてください。
・5~8小節のFl・Picc・Ob・EsCl・Cl1・ASax1はユニゾンです。音程には気を付けましょう。Cl2&3とASax2・TSaxがスラーで2声の響きを加え、さらにBassパートが同じ付点2分音符の動きで3声のようになっています。Bassは絶対にスラーに聴こえないように注意してください。
・6~9小節頭のTrpとTrbですが、Trb1&2は同じです。低音は響きにくいだろうという配慮だと思いますが、奏者の音量次第です。Trbがうるさくなるようでしたら1本でも良いと思います。
・9~13小節のBassを除く木管群は2声になっています。まずG音で始まる下のパートは半分以下になっています。人数調整をして綺麗に響くように調整してください。11小節3拍目と13小節は突然ユニゾンになっています。特に11小節はcrescの始まりでもあります。人数を調整して適切な音量にしましょう。
・11小節4拍目は減三和音(D♯dim)です。非常に不安定な和音ですが、4音の音量を均一にすれば響きやすくなります。次にCコードに解決させる練習をしてください。
・12小節4~6拍のSDは4小節と同様にcrescの動きを明確にしてください。さらに14小節は他の全員が付点4分音符×2の形です。SDの装飾音を大切にしましょう。 14~16小節頭は単純なDm/G⇒G₇⇒Cという和声進行です。和声は進行で捉え、流れが美しく聴こえるように練習してくだい。 ・15小節のCコードはBassの2連符の動きが聴こえるように減衰した方が良いと思います。2連符のパートは16小節に入ると順次進行になります。decrescはこの形になった後の方が効果的でしょう。
★ D~E
※ この部分は基本的にC~Dの完全4度上になっています。C~D部分を発展させた形と考えて良いと思われます。細かな注意はC~D部分を参考にしてください。部分的に表記したほうが良いと感じたことだけ述べたいと思います。
・1~3小節のメロディは木管からTrp1&2に代わっています。人数はC部分より減ると思いますが、強弱はmfになっています。Cと比べて広がる印象になるよう、しっかりと音を出してください。
・3小節4拍目⇒4小節1拍目⇒同4拍目⇒5小節⇒6小節⇒7小節⇒8小節⇒9小節頭の和声進行をC部分と比較します。C部分は順にEaug⇒F⇒Aaug⇒B♭maj₇⇒Edim⇒ Am₇⇒Dm⇒Gです。D部分はF₇⇒B♭m⇒Ddim⇒E♭m₇⇒A♭⇒D♭maj₇⇒G♭⇒Cとなっており、進行の仕方が全く違います。この和声進行はしっかり表してください。違いが感じられるようにしたいものです。9小節の3拍目以降は完全4度違いに戻ります。
・もう1点の違いは13小節頭です。C部分はDmになっていましたが、D部分はG音のみになっています。
★ E~F
(Trio前半1回目)
・最初の8小節、Clのメロディ、Fg・ACl・Eupの対旋律、Bassの3パートしかありません。どのパートもユニゾンですので音程に気を付けてください。対旋律がEupだけになる場合は、低いC音やB音は出ませんがClで補充する必要があるか検討してください。
・8小節まではSDとGlockenのバランスが大切です。Glockenの場合はマレットを選んで好みの音を見つけてください。完全な脇役の扱いにはせず、存在感のある音を狙ってください。
・9~16小節はHrnが加わることで和声的になります。響きを常に意識してください。音が薄いだけに重要です。10小節4拍目はメロディのA音と対旋律のD音しかありません。14小節4拍目はHrn2のG音がしっかり残っていることで和声を演出します。
・16小節はBCl・BarSax・Tubaがスラーになってcrescを表現します。
★ F~G
(Trio後半1回目)
・メロディはユニゾンですが、アウフタクト~4小節頭までと4小節4拍目~8小節目頭までは音色が変わり、8小節3拍目からは二つのメロディが合同する形になっています。ユニゾンですので音程が重要なのは言うまでもありません。問題は4小節4拍目からのFl・Obのメロディです。Obがない場合、Flは音域が低すぎてFg・BCl・ASax2・TSax・Hrnの和声に埋もれてしまうことが考えられます。※のObを例えばTrpのミュート等に変更できないだろうかと考えてしまいます。
・1・2小節のEupは注意が必要です。音自体はACl・TSaxと同じですし、F音はHrnも奏しています。2小節とも4拍目に舌突きがあるのはEupだけです。
・最初の4小節はHrnのF音とACl・TSax・Eupとメロディ、Bassで3声の和声を作っています。バランスに気を付けてください。
・5小節からはHrnとASax2・TSaxが同調して和声を作っていきます。常に和声感を感じさせる演奏をしてください。
・9・10小節のEupは1・2小節と似た形ですが、Bassに対応しています。また13~16小節はFg・ACl・TSax・Hrn3と同じです。メロディの強さは10~12小節が最も厚くなっています。上手にバランスを取ってください。
★ G~H
(Trio前半2回目)
※ Trioは前半と後半がそれぞれ3回出てきます。その3回の違いをしっかり表現してください。
・メロディはアウフタクト・8&10&12小節3~6拍目の4箇所がユニゾン、その他は2声になっています。先ずはユニゾン部分が2声部分より強く聴こえないかが問題です。
・次にメロディ2声部分の上は13パート2オクターヴとかなり広がりと人数があるのに対し、下は4パート1オクターヴになっています。このバランスを取るだけでも大変ですが、1~4小節頭と6小節のTrp3に注目してください。3声目を作るような役割なのですが1パートのみです。そうかと思うと4小節4拍目~5小節は数の多いメロディの上に合流しています。1パートだけでバランスが取れるとは思いませんので、人数調整やパートの入れ替えによる補強が必要と思われます。
・9小節からのFg・Hrnは対旋律の形で演奏しています。特に9&11の3~6拍の音型はメロディと1小節ズレた形ですので、音量的に大きな差が出るようにしないでください。
・和声はB♭系・E♭・Cm系・F系の4種類しかありません。これはE部分の後半も同じです。単純な和声だけに確実に響きを作りましょう。
・4小節4拍目のB音と10小節1拍目のD音はBassパートにしかありません。しっかり和音を支えてください。
★ H~I
(Trio後半2回目)
・F部分でのCl・ASaxのメロディは、楽器がTrpに、ユニゾンが1小節は2声に2小節は3声に、強弱がmpからfに変わっています。金管なので音量はあるかもしれませんが、人数的にはかなり減っていますので、広がりが出たかどうか検証してください。
・1小節のB♭/D、2小節のF/CのコードはTrb・Eup・Tuba・Cbではっきりと提示されます。単純な和声です。響きを大切にしてください。
・4小節までHrnはF音、5~6小節はG音、7~8小節はD音のユニゾンになっています。marcatoで表現するためには8分音符を短めの音で印象付けてください。
・3小節目はB音とF音しかありません。できるだけ同じ程度の音量にするか、HrnのF音のオクターヴを少し強調してください。
・4小節4拍目からの音色を変える役割はTrbが担っています。F部分は最初に比べて音量が減りそうですが、ここはTrbのユニゾンですのでかなりはっきり聴こえるでしょう。F部分と演奏を比較して、違和感がないかどうか検討してください。
・6小節5拍目からTrbは3声になります。7小節はEupを加えて3声になっています。ここの響きがしっかり広がるようにしたいのですが、前述したようにユニゾンの方が人数も多く強くなってしまうでしょう。
・8小節からメロディが多数の木管に移ります。8・10・12の3~6拍目の4箇所がユニゾン、13~14小節が3声、その他は2声になっています。この作りはG部分と似ています。ユニゾンとの音量のバランスに気を付けてください。
・9~15小節のHrnを見ると和声的に変わっています。Trbも和声を担当しています。G部分より若干複雑な和音ですが、簡潔な和音ですので響きをしっかり感じてください。
・15~16小節はHrnがユニゾンになってcrescしています。SDと同調してしっかりcrescしてください。molto crescでffに向かいましょう。
★ I~J
※ この曲のクライマックスに当たる部分で、Trioの繰り返しの間に挿入されています。特に特徴的なのは多用されている減三和音(ディミニッシュコード)です。構成音が4種になっている場合が多く各音の距離が短三度と等距離になっています。まず各音の音量をできるだけ等しくしてください。不安定な和音ですが、等しくなればなる程安定して響きます。このコードの後にシンプルな和音に解決します。解決した印象を与えるために、丁寧に和声作りをしてください。クライマックス部分なだけに乱暴にならないようにしましょう。
・最初の減三和音は1~3小節です。次にG♭コードに解決しますが、4小節の頭はFl・Picc・Ob・EsCl・Clのトリル後の音以外はB音のみです。トリル⇒装飾音⇒GesとDes…この進行ですので丁寧に瞬間的な和音を作ってください。
・次に5~7小節です。上と同じでトリルのパートが最後の音を出した8小節頭の瞬間に和音が解決します。
・9・11・13小節も減三和音です。例えば10小節は付点2分音符のGes音とトリル後のEs音が瞬間的にE♭mのコードを作りその後ASax2・TSax・Hrnが同じ構成音で和声を演出する仕組みです。12小節も同じ形です。14小節もほぼ同じですがASax1とTrp1がCes音に加わり、Trp2がGes音で参加しているのが違いでしょうか。
※ 解決の瞬間はトリル後の8分音符で作られることが大変重要です。
・Fl・Picc・Ob・EsCl・Clは同じ動きです。C部分が再現されたような動きになっています。最初の8小節は2声になっています。上下のバランスを取りましょう。9~14小節頭はFl・Picc・Obがトリルの動き、練習番号Cで始まったのと同じ16分と8分音符のリズムはEsCl・Clに分かれて担当しています。各部の人数は減ることになりますが、ユニゾンになることで補っています。14小節3拍目~16小節頭は合流してユニゾンで動いています。 この部分のトリルはどうすれば揃うでしょうか?適当に演奏しないで楽譜にしてしまうのが良いと思われます。3小節目のF音のトリルで例を挙げますと、最初の3拍はF&G音を16分音符で、後半の3拍は7連符か5連符の形にして最後の2音を装飾音のEs・F音にします。できれば7連符にしたいところですが、なかなか揃わなければ無理することはありません。とにかく次の小節の頭を確実に揃えることが最優先です。
・ASax・TSax・Hrnは同じ仲間として動きを見てみましょう。最初の3小節はHrnがTrp3にしかないF音を主体的に奏しています。4小節からSaxに同調します。4小節はSax全体でメロディのような動きをし、HrnはGes音で2声にしています。5~7小節は全員Ges音です。強すぎると感じたら削るべきだと思います。8小節からはこのグループにTrpが加わります。13小節までTrpはユニゾンでASax1と同じ動き、残りの2声部をASax2・TSax・Hrnが奏しています。
・1~3小節頭までTrp・Trb・EupにBassのFg・ACl・BCl ・BarSax・Tuba・Cbが加わって4音で構成される減三和音を奏しています。前述したようにできるだけ等しい音量で演奏してください。5~7小節頭も同様です。3小節3拍目~4小節と7小節3拍目~8小節はTrpを除くパートがユニゾンで演奏します。メロディの役割でもありますので強くていいのですが特に4小節のSax・Hrnとの対比には気を付けてください。
・11~13のdim.は確実に演奏しましょう。Cl・Sax・Hrnは10小節と12小節の音量を、それ以外のパートは11小節と13小節の音量をdim.させれば自然に形が作られると思います。14小節の頭を谷にして一斉にcrescしてください。ユニゾン中心から14~16小節で3声の和声を作るので十分に音が広がるように気を付けましょう。
・14小節1拍目でGes音を奏しているのはTrp2だけです。周囲の音が分厚いのでしっかり鳴らしてください。
★ J~K (Trio前半3回目)
・Trio前半3回目のメロディはFg・ACl・ASax・TSax・Trp・Trb・Eupが担当しています。1~6小節3拍目までは3声になっているのですが、Trbがユニゾンになっている点に注目してください。Trbの音色を中心にしたいのだと考えますが、D音でスタートするパートが多すぎますので注意が必要です。TrpやASax1はあまり強すぎないほうが良いかもしれません。
・EupとTSaxは3拍遅れて入ります。Trbのメロディより低い音を最初からは入れたくなかったのでしょうか?Trp3は最初から入っていますので、この効果については合奏時に試してください。
・4小節4拍目はTrp3がF音に上がりTrp全体が一瞬ユニゾンになります。Trpがユニゾンになるのはこの一瞬だけです。高い音域で和声的にメロディを広げたいのだろうと予測します。4小節4拍目については、このためB音がTSax・Eupの2パートだけになります。
・5~6小節3拍目はTrbがユニゾンでTrp3もTrp1と同じくメロディに加わるためASax2・Trp2のEs音から始まるグループとB音のタイになるTSax・Eupのパートが少なくなっています。バランスが取れているか響きの確認をしてください。
・6小節4拍目~8小節頭は全体で3声になります。和音の広がりを求めていると思われますので、音が広がっている印象になっているか確認してください。
・メロディの和声とHrnの和声的なリズムは、I部分同様減三和音が多用されています。和音の解決に向かわせるためには半音で移動する音の進行が重要になります。例えば3小節から4小節に進行する時、Ges⇒F音とEs⇒D音がそれに当たります。7小節のGis⇒A音とH⇒C音も同様です。不安定な和音から解決和音に向かう響きは繰り返し練習してください。
・8小節3拍目からTrbはメロディグループから抜け、代わりにOb・EsCl・Clがメロディに加わります。12小節までメロディの木管群は全てユニゾンです。このことから6小節前半までTrbがユニゾンだった理由が垣間見えます。低音(Trb)のメロディを強調したかった6小節目までと高音部のメロディを強調したい8小節3拍目~12小節の変化を聴かせたいのだと思われます。しかしユニゾンになっているわけではありません。Trp2&3は孤軍奮闘のような形で和声を表現しています。Trp1の音を抜いてでも下の2パートを強調したくなります。
・13~16小節2拍目は6小節目同様全体が4声に分かれますので、やはり響きの広がりを表現してください。
・1~8小節頭のFl・Picc・Ob・EsCl・Clは再びC部分の再現になっていますが、今度はユニゾンです。強すぎる可能性がありますので、その時は人数を減らしましょう。9~16小節まではFl・Piccだけになりますので、前後のバランスも考えてください。
・BD・Cymbは16小節間ほとんどBassと同じリズムです。全体の響きがpiu fで盛り上がっていますので、一緒に乗ってしまうとBass音を阻害してしまいます。気を付けましょう。
・9&11小節4拍目からのHrnは8分音符の連続です。この動きはHrnにしかありませんので、全体的にアクセントをつけるくらいの気持ちで演奏しましょう。
・9~16小節はTrbがBassパートと共に和音を形成します。複雑な和音が多いので、やはり和音の解決がクリアになっているか点検しましょう。
★ K~最後 (Trio後半3回目~エンディング)
・アウフタクトの付点4分音符は4声になっています。mfですが音が低いのとK部分の盛り上がりを考えてしっかり響きを作ってください。
・響きは1~4小節2拍目までのメロディグループにも継続されます。SaxはBassのBarSaxと共に、HrnはEupやBassと共に3声の和音を作り、伴奏のようなリズムを担当するTrbも3rdを含めると3声になって動いています。この3小節半はFとCコードだけで演奏されます。響きが濁らないように気を付けてください。前後に不安定な和音の部分が多いので、このような素直な和音はすっきり響かせたいものです。
・4小節4拍目は後追いのOb・EsCl・Cl・Trpはユニゾンですが、SaxとAClだけは和声的です。ASax1のC音はTrb1と合流しますが、ASax2とAClのA音は2パートだけです。AClがない場合はClで補充するしかないと思います。
・Ob・EsCl・Cl・Trpはユニゾンで始まり5小節は2声に6~8小節頭は3声に広がります。明らかに響きの広がりを求めていると思われます。繰り返し述べますが、和声的に広がっても各パートの演奏人数は減っていきます。声部が多くなった時、総演奏人数が増加するように工夫するか、思い切ったcrescで対応するしかありません。
・2声の動きだったTrb1&2は5~8小節頭でEupを加えて3声に広がります。メロディパートの広がりに対応しているかどうか確認してください。
・8・10・12小節でFl・Picc・Ob・EsCl・Cl・A&TSax・Trpはユニゾンになります。かなりの人数です。それぞれ次の小節ではいきなり3声に広がります。ffではありますが、ユニゾンの人数は削ったほうが良いと思われます。9・11・13小節の和音がユニゾンに比べて貧弱にならないように響かせたいものです。
・9~10小節1拍目でTrb2とEupが3回G音を奏しています。密集しすぎているため全体の響きを邪魔してしまうかもしれません。あまり強く演奏させないようにしてください。
・3~8小節頭の16分音符・8分音符の動きは2声です。少ない人数ですが高音域ですので問題ないと思われますが、4小節のトリルについては終わらせ方に気を付けてください。例えば16分音符×10と8分音符のような楽譜にして、確実にC音とA音で終わるようにしましょう。
※ 最後の6小節、エンディングということでdecrescを表現しなければなりませんが、それにも方法があると思います。
・13小節と14小節はSD以外の動きが同じです。当然SDの音は前に飛ぶように、特にアクセントをしっかり演奏しましょう。もう一つ13小節のポイントは減三和音であるということです。14小節に解決の形を取りたいのですが、14小節も素直な和音ではありません。低音域はE⇒F音に、高音域はCis⇒D音に半音進行をします。さらに中音域にもE⇒Es音に半音進行するパートがあります。この半音進行を前に出すような意識で全体の響きを調整してください。
・15・16小節も減三和音になっています。sfzはそれを強調していると考えてください。今度は17小節で素直に解決します。この響きは確実に美しい音を求めたいですが、decrescの後のpなので難しくなります。E⇒F音とCis⇒D音への半音進行がやはりポイントになります。
・15~18小節1拍目までの木管群の16分音符と8分音符の動きは滑らかに流れるようにdecrescしたいのですが、気を付けなければならないのは17小節目の頭です。ここで終わるパートと3拍目からスタートするパートがありますが、これを違和感なく繋げなければなりません。さらに和声を解決させるパートもこの瞬間が響きのポイントです。木管群はF音がなくB音とD音が多くなっています。pでもありますし、ここは人数調整で綺麗な響きを求めるべきだと思います。
・ラストの音、ppなのに人数が多過ぎます。全員B音です。音程のリスクを回避するためにも、皆で演奏している印象を崩さないように、でも音量が出過ぎないように引き続き人数調整してください。 ・最後のSDの装飾音はクリアに聴こえるようにしましょう。
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