課題曲Ⅲ 「メルヘン」

 ※ 魅力的な曲でもあり、課題曲に取り上げる団体も多いのではないでしょうか?演奏する団体の状況を認識してのオクターヴの記載など、大変親切な楽譜でもあると思います。 しかし、指揮者にとっては難易度の高い曲ではないかと思われます。本番を迎える前に試行錯誤しながらでもどのように振れば安定したアンサンブルが組み立てられるか検討した方が良いと思います。そこで、曲の解説に入る前に私なりの振り方を披露させていただきます。 


★ 指揮のポイント 


① 冒頭部分は4拍子で振りますが、6小節目も4つ振りのままで良いでしょうか?私は5小節目2拍目から2拍をまとめて2つ振りにします。その方がテンポの自由度が増し、A3小節目のpoco ritや4小節目のASax1のsoloを自由に演奏させることができます。 ② A5小節目のa tempoで正確にテンポを戻すことが大切です。そのために必要なのはASax1のsoloの3,4拍目の7連符です。5小節目からは4つで振りますが、その予備を7連符の3つ目か4つ目の音に照準を合わせます。そして5小節目1拍目のトライアングル、3拍目のバスパートを手掛かりに合わせると良いでしょう。その後は冒頭と同じ4つ振りで良いでしょう。 ③ B6小節目から、私はテンポはそのままで2つ振りに振り替えます。その方がレガートのイメージが表現しやすいこと、C2小節目のCl,ASax,Trpは裏拍のような取り方となりその後のmeno mossoのテンポが自由に設定できるという利点があります。 meno mossoからは4つ振りで自由にテンポを作ってください。C7小節のritを表現した後、Dからは冒頭のテンポに戻しますが、容易に予備を出すことができます。 ④ 次に困難な場所はG1小節前のritの掛け方⇒G4小節目のAdagio⇒HのTempo di Valseまでの流れです。HからのValseは52のテンポで1つ振りにしますが、その前のAdagioも52です。G1小節前からいきなり遅くせずに時間をかけてritします。Gから2小節間はritしていることがわかる程度にとどめ、3小節目でブレーキをかけて52のテンポを整えます。大切なのはAdagioとValseのテンポを同じにすることです。 ですから、先ずValseのテンポを練習したうえで、その前のAdagioを奏してみると良いでしょう。 ⑤ I1小節前のpoco ritは3つ振りにすることで容易に表現できます。注意するのはpocoですので遅くしすぎないことです。IのTempo Ⅰは冒頭と同じですので問題はありません。 ⑥ KのMaestoso⇒poco rit⇒accel⇒Allegro vivaceの流れは、この曲の振り方の中で最大の難関と言えるでしょう。Kの冒頭のTinpをしっかり響かせたことを確認したらおもむろに2拍目以降のテンポを指示します。poco ritを僅かにかけたらaccelに入りますが、3拍目のTSax,Trp,Eupの2分音符と木管群の3連符が揃うことに注意しながら、特に3,4拍目のテンポを上げAllegro vivaceの1小節前では冒頭のテンポに戻すのが良いかと思います。K5小節目の2分音符の3連符をどう合わせるかがポイントですが、気にせず3連符を振るようにした方が良いと思います。 どうしても合わない時、私は行わない方法ですが、K5小節目を3連符に合わせて3つ振りにする方法があります。木管群の8分音符の3連符を4連符と考えると2分音符の3連符に揃えることができます。ただしあまりお勧めできる方法ではありませんので、揃えるための練習に用いるのにとどめた方が良いでしょう。 ⑦ L1小節前の2/4拍子は2拍目を止めるように指揮します。この時、棒は振り下ろさず上に留めます。2つ振りを意識したテンポで振り下ろすとスムーズに6/8拍子のテンポを作ることができます。M1小節前は1拍目と4拍目にしか音がありませんので冒頭と同じAllegro vivaceは1,2拍目ではっきりとテンポを指示するように振れば容易に設定できます。そのまま最後までテンポを落とさず、勢いを持って曲を終わらせてください。 



 ★ 冒頭~Aまで 

 ・冒頭はユニゾンです。音程には特に気を付けましょう。 

・3小節の16分音符の動きは木管群とSDを揃える練習を繰り返してください。 

・3小節目の2分音符のパートは小節の頭からスタートするグループと1拍遅れてはいるグループのバランスを比較して整えてください。拍の頭からのグループはセブンスのコードが ナインスに変化する点に注目してください。Trp1のG音がその役割になります。As音とぶつかりますので丁寧に和声を作りましょう。さらに4小節目にはB♭₉のコードに進行します。ナインスのC音はASax1とTrp3です。1拍目はアクセントを強調したいので、響きに気を付けてください。2拍目以降はTimpの動きが強調できるように少し抑えた方が良いかと思われます。 

・5小節目2拍目はB音のみです。5声もある複雑な和音とユニゾンが交互にやってきますので、ユニゾンは音程に特に気を付けてください。直後の3拍目は再び5声になります。この和音はA音とC音の人数が多くF音はEupのみです。バランス的に問題がないかチェックしてください。6小節1拍目裏からA音のみになります。やはり音程に気を付けてください。


 ★ A~B

 ・1~3小節で特徴的なのは、和音の解決です。1小節目では1拍目にあるA音がG音になることで解決し、3拍目のDis音がE音に移動して解決します。2小節目もG⇒F音、Es⇒D音と同じ進行が見られます。3小節目では1拍目のF音が3拍目にEs音に解決します。これらの和音が全て単純な和音に解決するわけではありません。不安定な和音に解決することで気取った雰囲気に仕上げてあります。和声変化を丁寧に作ったうえで次のASax1のsoloにつなげましょう。 

・5小節目はF₇sus₄の和音から6小節目のF₇に解決しますが、ASax1のD音が加わり複雑になっています。ここでは5小節目でAClのない団体は、手の空いているCl1にB音をフォローさせましょう。6小節目は非和声音のASax1のD音をやや強調する形でバランスを取った響きを作ってください。 


 ★ B~C 

・1小節1拍目はB音のみです。複雑な和声とユニゾンを交差させる構造は変わっていません。 

・2小節目のTrb1&2のC音とAs音は低音のB音とぶつかりますが、しっかりと響きを表現してください。 ・2&4小節も木管群とSDの動きを丁寧に揃えてください。

・6,7小節crescの方法を考えたいです。両小節とも3拍は同じ和音の分散形でcrescの頂点が3拍目になります。頂点を過ぎた4拍目は和声が変化するため、3拍目の山を揃えたいのです。全音符や付点2分のパートも山を揃えるようしっかり数えてください。 



 ★ C~D 

 ・1,2小節目、前2小節と同じでcrescの方法を工夫してください。Pからcrescになっていますが、不安定な減三和音が解決しないまま2小節頭の頂点を迎えます。これも数えながらcrescの形を揃えてください。和声変化はなくただcrescを揃えるだけです。2小節2拍目はDes音のみになります。音が薄くなるので、2拍目のアクセントが1拍目に比べて弱くなりすぎないように音量には気を付けましょう。 

・3小節3,4拍目のASax1、4小節3,4拍目のCl1に注目してください。共に8分音符の動きですが、拍の頭は非和声音になっていて拍の裏で響きを解決させています。裏の位置でしっかり響きが作れているか検証してください。同じ8分音符が5小節目のASax1とHrnにもありますが、こちらは拍の頭で和声が作られていますので、最も明るい響きになるはずです。meno mossoのイメージを5~6小節で解決させてください。 

・meno mossoのイメージを受けて、7~8小節は素直な3和音が連続します。今まで4声・5声の和音とユニゾンが交互になっていたのと対照的です。ここはスッキリ感を出せるように丁寧に響き作りをしましょう。 ※ さて、このMeno mossoのテーマは後に練習番号L部分で変化した形で再現されます。そのことは意識の片隅に置いておいてください。


 ★ D~E 

 ・頭から主要テーマですが、1小節目がユニゾンで2小節目以降が3声中心で動いています。直前までのスッキリ感を続ける形になっていると言えるでしょう。クリアーで軽快な響きを求めてください。 

・4小節4拍目から和声は複雑さを取り戻します。ここからは徐々に広がりを感じさせるように演奏したいものです。5小節はEupだけでもいいのかもしれませんが、AClがない場合、その後の展開を考えるとClの一部を回して補強した方が良いかもしれません。 

・6~8小節も3声のままで推移します。そのうえで8小節目頭が頂点となるようcrescに気を付けてください。記譜されている通り、6小節はpのままで7小節2拍目からcrescを入れて8小節頭が頂点、8小節目はそれぞれの楽器が音が変化する都度decrescを掛けていけば良いように思います。 

・8小節目の3連符が何故下行形になってdecrescで処理されているのか考えてみました。下のEの挿入句に繋がらせるためだと考えます。Eの最初の部分で述べたいと思います。 


 ★ E~F 

 ・1~4小節は練習番号Iに再現されます。ミュートを付けたTrpの音型はXylophoneが受け継ぐのです。音の長さやニュアンスが同じになるように比較練習をお勧めします。次に4小節目に注目してください。Eの1小節前はEに繋げるためと書きましたが、この1小節前から4小節カットしても音楽が成り立ちます。5,6小節はメロディが3声になって主要テーマの終止のような役割を果たしていると思っているのですが、Iにも同じような形が見られますので比較してください。 

・1&3小節の冒頭では、前小節の響きを残さないように気を付けてください。前の響きが消えてTrbの和声とTriglの音がクリアーに聴こえるように練習してください。1小節目頭のSDの8分音符はロールを残さずにTriglに同調して軽く叩くだけにしましょう。決してTriglよりも目立たないように。 

 ・2小節目は響きを丁寧に作ります。4小節目は2小節同様に響きを意識しますが、5小節頭の頂点を目指してしっかり広げてください。特に3,4拍目にあるCl2,ASax2,Hrn1の  E⇒Fis音の動きに気を配ってください。Eが非和声音でFisが入って解決します。4拍目のD₇コードを美しく響かせると5小節目で元通りになる複雑な響きに繋げられると思います。 

・5小節目はメロディが3声で動きますが、A音スタートが多くD音スタートは少なくなっています。バランスを調整してください。 

・6小節のメロディもかなりバランスに片寄りがあります。G音スタートが特に多いです。(B♭Clはユニゾンに)バランスをより入念に調整しましょう。 

・7小節1拍目は低音のC音のみです。ここでも前小節の響きが残らないように気を付けてください。 

・8小節目はバス担当の楽器がテーマを始めます。目立たせたいのはもちろんですが、特に3拍目はE音が和声のEs音とぶつかります。ひるまずに堂々と奏してください。 


 ★ F~G 

 ・1小節1拍目は前小節のF₇から解決する素直なB♭のコードです。しっかりと解決の形 を響かせたいのですが、圧倒的に多いB音に対してF音はTrp2のみです。補強が必要だ と思われます。 

・1小節2~4拍は低音のメロディが再びユニゾンで奏します。音程に気を付けましょう。 

・2,4小節目で気になることは木管群のスケールと和声のグループ、さらにPercのcrescの連動です。3拍目から次の小節の1拍目まで一緒にcrescするイメージでお願いします。 

・3小節目はメロディグループのユニゾンがかなり強く聴こえると思われます。次の小節で3声に分かれることを考えるとfで音を出しすぎるのは考え物です。和音のパートはfpからもう一度crescしています。メロディを浮き立たせるためのfpでもあると思いますので、4小節目に3声に分かれた時の広がりが感じられる程度の強さを調整してください。 

・3小節目の和声はEupのD音とTrb1のB音が単独になります。バランス調整しましょう。 

・5小節1拍目は無音です。crescの後、切れよく無音を作ってください。直後にSDの装飾音が単独で聴こえるはずです。 ・5,6小節は3声~4声の同じリズムの動きになっています。それぞれで響きを作ることは大切ですが、このようなパターンは重くなってしまいやすいので軽快なリズム合わせが必要です。軽快にするために多少音を間引いたほうが良いかもしれません。 

・7小節目は4分音符の動きはユニゾンですし、低音もE音だけで一転シンプルな構造に変わります。 

 ・8小節目で問題なのはritの解釈です。私は1小節限りのritとは考えていません。この小節からGのAdagioの前まで4分休符の後の4分音符3つという音型が連続しています。この音型は5小節目にも同じものがあり、テーマのアウフタクトと同じです。G1小節前から3小節目まで1小節単位4つの段階でritを行い、結果としてAdagioの58のテンポ(HのValseのテンポ)になれば良いのではないかと考えています。 


 ★ G~H 

 ・1小節目の全音符のパート、G♭のコードですがDes音はCl3とObにしかありません。バランスに気を付けてください。また同じコードを演奏しているのにffpのパートとdimのパートに分かれています。ffpはテーマのアウフタクトの音型を浮き上がらせる役目がありますが、dimのパートは和声的な部分をメロディより低音域で残すという役割があるのかと思います。この時Des音をどの程度残せば良いのか課題が残ります。いろいろ試してお好みの響きを作ってください。 

・2小節目はアクセントのついていたテーマをレガートなテーマが追いかけます。さらに次の小節はレガートな要素しか残りません。アーティキュレーションの変化とdecrescを連動させてください。

・4小節目からIの4小節目まで、AClのない楽団はClでの補強をお勧めします。 

・Adagioの1小節もやや複雑な和声進行になっていますが、2小節目は複雑さが増します。特に3拍目はG,A,Hとぶつかり合う音が低音のDisの上に乗っています。丁寧に響き作りをしてください。この響きを美しく変化させることで、次のValseの素直な和声進行が生きてきます。 



 ★ H~I 

・1~3,6,7,9~11小節は3声か4声の比較的単純な和音で進行します。メロディに当たるCl1,ASax1やACl,TSaxに見られる2度上下しながらの進行に注目してください。非和声音をぶつけて3拍目に解決させる形の連続です。不安定な響きが3拍目で美しく響くか検証してください。 

・和声が解決する美しい響きの合間に、6小節1拍目のA音、8小節1拍目のD音、10小節1拍目のFis音が単独で登場します。切れよく奏するためにも音程には十分気を付けてください。8小節目は1拍目裏からのスケールもユニゾンです。 

・交互に登場する和声とユニゾンの終結部分のような印象で11~14小節が奏されます。響き作りは入念に行ってください。Trpのミュートは響きの中に溶け込みながらも存在感があると感じられる物を選ぶと良いでしょう。14小節1拍目が頂点になりますが、H音は前小節からタイで伸びているEupだけで、和声的とは言えないバスのCis音は強調されすぎますので、バランスに気を付けてください。 


★ I~J 

・1~3小節のPerc、Xylophoneは存在感のあるマレットを選びましょう。Tambourineはリズムが明確に聴こえる奏法にこだわってください。 

・1,3小節の素直な3声と比較すると2小節目は全体が5声になっています。As音でスタートする楽器が多い中、Cl3とASax1は1パートのみの動きになっています。5声の中のGes音は重要な音なのですが、1拍目はASax1のみ2拍目はCl3のみになります。響き作りは入念にしてください。 

・4小節目は2小節目と同じようなリズムでメロディが動いていますが、4分音符で進行するパートは2拍目までがユニゾン、3,4拍目は2声になっています。ユニゾンの2拍は多すぎて他の動きとの和声が作りにくいですし、pでもありますので、少し減らした方が良いでしょう。 

・5小節目からは再び複雑な和音の連続になります。バスやPercを除いたメロディの動きは3声になっていますので、先ずはこのパートだけでバランスを取って響かせる練習をしましょう。 

※ IとEは比較練習を行ってください。Eの5,6小節に当たる部分がIでは2度上げて繰り返されています。ここからJのテーマのカノン、L・MでのCのmeno mossoの形を変えた挿入句の再現、テーマの完全な終止と長いコーダが演出されていると感じています。


★ J~K 

 ・1~8小節全てでテーマの2小節が追いかけてきます。KのMaestosoに向けて展開していく印象にしたいものです。先ずはテーマの展開が徐々に広がっている形になっているかどうか、これらの音だけの練習をしてください。アウフタクトに当たる4分音符3つはどのパートもユニゾンですが、続きの8分音符のある音型は4小節目のOb,Clが2声、6小節目もFl,Piccが加わって2声、8小節目はTrpとASaxで3声になっています。他の小節はユニゾンですので、和声になる部分は音の広がりが感じられるようバランスに注意してください。Trp1が3声目の部分を1パートだけで演奏していることや、4分音符のPicc,Ob,Cl1は少なすぎないか心配です。そんな中、crescはしっかり広げてMaestosoに繋げなければなりません。 

・J全体でAClがない場合の補強は必須だと思われます。Fgがなければさらに必要です。 


 ★ K~L 

 ・1小節1拍目のTimpは前小節のcrescを受けて、それに見合う音量が必要です。crescの延長でも構いませんが、アクセントのイメージを持った方が良いと思われます。 

・メロディは2小節はユニゾンで、3小節目に2声でcresc、さらにTrpが加わってEupやTSaxの2分音符とともに4声に広がり、木管群の3連符、accelと6小節冒頭の頂点に向かって盛り上げます。音の数は広がるのですが各パートの人数は減ってしまいますので、高揚感が演出できるように練習してください。 ・5小節目のSDのcrescは効果的です。Crescで全体の音の広がりをリードしてください。 ・K全体もAClがない場合のClでの補強は必要です。 

・Allegro vivaceに入ったら盛り上がりが必要ですが、冷静にメロディの3声のバランスを取ってください。D音スタートのパートが多過ぎます。1拍目のB音はTrp3にしかありません。F音スタートも少ないように思えます。 

・最後の山型のアクセントは短い音ではっきりと演奏しましょう。 


 ★ L~M 

 ・直前に切れのあるアクセントで終わった後は空白の2拍(6/8拍子なので)があります。ここはCのmeno mossoを再現していることを忘れないようにしましょう。Cの3小節3拍目から始まる8分音符4つのアウフタクトの最初の音を省略していると考えると6/8拍子が腑に落ちます。しっかり音を切ったらleggieroをイメージして空白の部分に指揮棒を振り下ろしてください。軽やかな音楽に仕上げたいと考えます。

・メロディはずっとユニゾンです。特にpの部分など奏者を減らしてもいいのではないでしょうか。HrnとEupで奏する和声がしっかり響きを持つようにしてください。 

・4小節目の付点2分は、次の音が高いためcresc気味になると思いますが、ミュートを付けたTrpを生かすように掛け過ぎないようにしてください。 

・7小節4拍目の8分音符は終止の形を取っていません。Mの冒頭で形を変えてもう一度挿入句のテーマが再現されます。終止の音はMの頭の音ですので、余計な間を入れずにMに突入してください。 


 ★ M~N 

・Grandiosoのようなイメージで挿入句を締めくくろうとしています。締めくくりそうになりながらNで最初のテーマに戻るように見えますが、2小節目からすでに主要テーマが2回再現されています。それを頭に置いたうえでテーマと挿入句のバランスを考えましょう。私はテーマが脇役の役割で良いと思います。脇役だったものがNで主役に変わるというイメージで演奏します。 

・1小節目の強弱表記が異なるのは、何故なのか考えてみたいと思います。mfで表記されているグループはGmの和声の響きを作りたいからだと考えます。B音のグループはL部分の終止を決定させるような力強さの役割も担っています。多数であるB音に対してpのグループに同じ音があるもののmfグループにはD音がHrn1のみ、G音はEupのみです。響きも感じられるようにバランスを調整しましょう。 

・pのグループにはよりcrescを表現させたいのではないでしょうか。メロディと一体となって挿入句がコラールのような広がりを見せています。主要テーマが2小節目から入って来ますが音量は和声の陰に聴こえる状態で良いと思います。テーマは3小節目にTrbを中心に3声になります。Trb1の音はTSax・EupとAClが重なり、Trb3はFgが重なっています。Trb2の音は他にありません。バランスには気を付けましょう。 

・挿入句によるコラールの頂点は4小節目になります。ここからバスのグループのテーマが追いかけて来ます。ユニゾンなので音量にはさほど問題がないと思われます。 

・最も気を付けたいのは5小節の木管とSDの音の切れです。次の小節にかぶさることがないよう気を付けてください。 


 ★ N~最後 

・冒頭は、前小節の木管群やSDの細かい音、全音符の伸ばしの音を確実に止めて、Tuba・Cb・Timp・Tamtamだけが聴こえるようにしてください。それを受けて2拍目からdimでテーマが再現されます。ユニゾンですので音程に気を付けてください。 

・ユニゾンで始まったテーマは2小節目ですぐに3声になります。3声のまま4小節目までcrescで広がっていきます。1小節目のユニゾンはdimですが、それが3声に変化したときどのくらいの音量で響きが出るのか調整してください。pをあまり意識しすぎると響きが貧弱になる可能性があります。3,4小節で広がりが出せれば最初の音量は多少強めでもいいと考えます。

・2~4小節は同じ和音です。5小節目でB♭に解決し6小節はそのまま、7小節はB♭にC音が加わります。C音は少し強調しても良いでしょう。 

・木管群のスケールはそれぞれの最初の音に注目してください。5小節がD音、6小節がF音、7小節がB♭の和声の主音であるB音で始まります。主音で始まってそこからcrescが始まるので終止のイメージが作られるのだと思います。このcrescの始まりをPercも全音符のパートも揃えてください。7小節がC音のパートは入りこそ強調しますが、私はあまりcrescさせずにB♭のコードを強調して曲を締めくくります 

LUNASAKA音楽工房

ようこそ! 指揮者・編曲者の坂本文郎のページです。 主に中学校や高校の吹奏楽部の部活動や一般の吹奏楽団などを対象に、楽曲の編曲・指揮・指導を行っています。 お気軽に、ご相談ください。 #吹奏楽 #合奏指導 #編曲 #指揮レッスン #吹奏楽コンクール

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