遅くなりましたが、課題曲Ⅱの解説をしたいと思います。
一気に解説しますので、頑張って読んでいただきたいです。
この曲は課題曲として取り上げやすいのではないでしょうか。時間も4分半弱。和声も素直なものが多く、響きも作りやすいのではないかと思います。
曲はポロネーズ部分とアリア部分の他に、前奏部分やPomposo(華麗に)Tempestoso(嵐のように)最後のCon brio(生き生きと)の部分があり、大きくは3つの部分に分かれていると考えてください。ポロネーズ部分は基本的に1拍目に強拍が来ると考え、例外の部分とポロネーズらしい部分をしっかり把握して演奏してください。 和音は比較的素直で響きも取りやすいと思いますが、ユニゾン・2声・3声・4声が散りばめられており、バランスの取り方が問題になっている箇所が多いと思います。ユニゾンが強いと感じられたら、人数を削って少しでも音程のリスクを回避してください。
それでは、部分的に解説します。
★ 冒頭~Aまで
① 音型毎に見ていきましょう。1小節目のHrnとEup、2小節目のHrnとASaxはユニゾンです。2~3小節のTrbとEupは別の動きですがユニゾンになっています。3小節目3拍目裏はそれらすべてのパートがB音のアクセントです。4小節目からそれらのパートにBassを担当している楽器が加わって同じ音型になっていますが、ここで3声に分かれます。このパートだけ取り上げて、自然な流れに聴こえるのか点検してください。
② 次に、2小節目までのTrpとClに注目してください。それぞれ別の動きですが、共にユニゾンです。3小節目から動きが同じになりますが、やはり3声に分かれます。3~4小節でB音のトリルを奏しているPicc・Fl・Obもユニゾンです。そしてこれらのパートが5小節目1拍目裏からユニゾンになります。これも自然な流れに聴こえるか、このパートだけで点検する必要があります。
・①②の点検が終わったら、その二つとPercを入れて合奏します。3つのバランスがしっかりとれるよう、気に入る音を探ってください。特に4小節目と5小節目頭の音はグループ②がユニゾンになりますので、Percのcrescのやりすぎなどがあると和声の響きを殺してしまう可能性があります。5小節目1拍目裏と2拍目の頭がcrescからの到達点になります。Ddurのコードを美しく鳴らしてください。
★ A~Bまで
・1小節目のアウフタクトはBassとTimpのD音をしっかり響かしてください。Tom-Tomを出しすぎないようにしましょう。
・2小節目まではポロネーズのリズムを前述のBassを含めてしっかり提示してください。1拍目の16分音符がつぶれてしまわないように、2小節目のdecrescの形が基本形だと考えて1拍目に強拍が来るように提示してください。TrbとTrpの和声の響きを聴かせることも大切です。
・3小節目からTSax・Fg・Hrn・Eupによるメロディが始まりますが、ここでもTrbによるポロネーズのリズムと和声がしっかり聴こえるようにしてください。ここから先は、ユニゾンと和声のバランスが重要になると思われます。
・6小節目は和声にTrpとPicc・Flが加わります。この和音はPicc・Flが高音で同一の音を吹いており、さらにTrp・Trbも同じ音が一番上になっています。下のパートと和音のバランスが取れているかチェックしてください。
・6小節目のPicc・Flのトリルは小節内で終わっています。D音で終わるように指示しましょう。3拍目の裏が管楽器は全てD音で終わっていることを考えると、トリルは8分音符分だけにして裏は他と同じようにD音の8分音符で終わったほうがスッキリするかもしれません。
・6小節目3拍目裏は一つ不思議に思う点があります。全体がD音なのにTimpだけB音になっている点です。和声的に聞こえさせるのは困難でしょう。
・7~10小節もこれまで同様メロディのユニゾンとHrn・Trbの和声のバランスに気を付けましょう。10小節目は1拍目を強拍にするポロネーズの形が崩れますが、Bassを表に出し、Percと共に奏するcrescに乗せていきましょう。ここで違いを出すならば、それまでの部分はしっかりポロネーズ(1拍目が強拍)の形を保ちましょう。
★ B~Cまで
・アウフタクトも含め最初の4小節に注目してください。メロディがかなり多くなっています。その他はTrpとHrnがそれぞれユニゾンで別の動きを、それにBassがやはりユニゾンで動きます。そんな中Trbだけが和声的になっていますね。3小節目からはTrpとHrnも和声的になりますが、最初の2小節はメロディの人数を調整しないとTrbの和声が響きにくくなるでしょう。
・4小節目はTrb・Trp・Hrnのリズムがそろいます。decrescがついていることもあり、1拍目の強拍をはっきりと表現してください。2拍目のバランスですが、D音がメロディのユニゾンの関係もありD音がかなり多くなっています。Trp3とHrn1にあるD音はかなり薄くてもいいかもしれません。
・4小節目のBassのdecrescですが、私が演奏するならポロネーズのリズムパートとは少し違う方法を採ります。2拍目頭までは強いままにし、その後decrescで3拍目裏はmpかpくらいを意識します。5小節目から半音で下行しますので、mfまで音量を戻すような演奏が良い気がします。
・5~6小節はOb・Cl・ASaxによるメロディのユニゾン、Hrnのユニゾン、Bassの半音下行形とTrbの和声&ポロネーズのリズムの4つに分かれています。ここは比較的それぞれのバランスが取りやすいと思いますが、6小節目2拍目裏からメロディユニゾンが急増します。HrnがTrbに加わりますが、Bassの人数も変わっておらず人数調整が必要になるのではないかと考えます。
・6小節目のcrescは2拍目裏から一斉に行うと良いと思います。 ・8小節目3拍目の最後の音は明らかにバランスに問題があります。Hrn3とTrb1以外は全てG音です。2パートだけがB音を演奏していますので、バランスを調整してください。
★ C~Dまで
・まずPercですが、4小節目までのCastanets、5小節目からのTamburineは音色の変化がクリアに聴こえるようにしてください。Castanetsに比べTamburineは管楽器に埋もれてしまいがちになりますが、そのタイミングでメロディがユニゾンになり人数が増えます。
・1~2小節はメロディが初めて2声になります。これは大きな変化ですので、弱奏しすぎずに変化したことを主張しましょう。さらに3小節目アウフタクトからは3声になります。Cl1&2はFl・Picc・Obが同じ動きですが、Cl3は1パートだけですので埋もれないように気を付けてください。
・4小節目2~3拍目のBassはcrescの形を主張しましょう。
・5~6小節のメロディは人数が増えた上にユニゾンに戻ります。mfでしかないのに突然強くなった印象にならないよう気を付けてください。
・7小節目3拍目の4分音符はC₇のコードです。素直な和音ですので綺麗に響かせてください。 ・8小節目の3連符ですが、1・2拍目に比べて3拍目が少なくなっています。音が高くなるので大丈夫だとは思いますが、しぼんだ印象になっていないか点検してください。
・8小節目の和音はD音・G音に対してA音がTrp2だけになっています。バランスを点検してください。
・9小節目の付点2分音符のパートですが、Clにだけfpが付いていません。前の小節からのタイなのでそうなっているのでしょうが、ここはfpの処理をした方が良いように思います。DコードのA音抜きになっているのです。そのA音はリズムを受け持つTrpとTrbの中でTrp2とTrb3だけが奏しています。Fl・Piccの半音階やBassの2拍目からの順次進行を聴かせるためにも和声を響かせるためにも、この処理は行ってください。
★ D~Eまで
・ここから抒情的なアリアに至る前の最初のクライマックスに向かいます。今までよりも動きが複雑になっています。スコアを参照して同じリズムの動きに注目してください。最初は違っても途中から同じ動きになるパートもあるでしょう。そして動き別に整理したら、ユニゾンになっているのか2声なのか3声なのか点検してください。例えば同じ動きでユニゾンから2声に変化した場合、気持ちは華やかに広げる印象になりますが、実際に奏者の人数は半分になります。和声的になることで響きは広がりますが、音の力強さは絞んでしまいます。このことを頭の片隅に入れて、どうすれば気に入った合奏になっていくのか試してください。
・1小節目にいきなり困難な部分があります。Fl・PiccのG-A音のトリルは最も困難なトリルと言って差し支えありません。Flは左手小指と右手人差し指・中指の3本の指をPiccは右手中指を除いた2本の指を同時に動かさなければなりません。しかも高音域で、メロディや和声の邪魔をしないように演奏するのはかなり難しいでしょう。あまり回数を増やさず、人数も絞ったほうが良いように思います。
① 1~7小節のメロディはClとTrpのユニゾンで始まります。途中2小節目3拍目裏からFl・Piccも加わりますが、3小節目2拍目から急に3声になります。5小節目のアウフタクトからOb・Cl・A&TSaxのユニゾンになり6小節目2拍目裏からSaxが抜けてFl・Piccが加わります。音が薄くなりTrpが7小節目3拍目裏から続けますが、8小節目は2声になります。特に8小節目1拍目のTrp3が奏しているEs音はG音が多い中で1パートのみしかありません。TrpからFl・Picc・Ob・Cl・ASaxがユニゾンで繋げますが、ここは音量の段差が最も激しいと思われます。
② 1小節目2拍目からのA&TSaxとHrnの対旋律はユニゾンで始まり2小節目2拍目で2声になります。
③ Trbの和声は3声で続けられます。3小節目にSaxとHrnがリズムを奏しながら3声で加わり、4小節目はTrbも3声のままリズムを奏します。5~6小節はリズムの形のままTrbとEupが三和音を奏で、7小節目にHrnが加わります。8小節目はレガートでHrnの和声だけになります。1拍目のHrn2のB音は1パートだけですのでバランスに注意してください。9小節目は和声にACl・TSax・Trbが加わります。特に1拍目のEsコードは綺麗に鳴らしてください。
④ BassはBDと共にポロネーズのリズムを作りますが、③パートと一緒に和声を作りますのでバランスを取ってください。4小節目のdecrescはBの4小節目と同様、2拍目裏からのdecrescにすると良いでしょう。5小節目からはやはり半音の下行形になりますので、しっかり主張してください。
⑤ PercはまずSDに注目してください。ポロネーズのリズムを7小節も続けるのはSDだけです。さらに4小節目にTom-Tomが強調します。全体が静かになってくる部分、6~7小節にかけてのSus Cymbのcrescは独自の動きですからしっかり主張してください。
・①~⑤のパートはそれぞれのパートでバランスや流れを検討しましょう。その上で、少しずつ別パートを加え、理想的な合奏を形成してください。
・5~7小節の和声はBassの半音進行もあって複雑な響きになっています。和声の変化を検討してください。
・10小節目は全体のリズムが同じになります。2拍目表まではFコードの3声ですが、A音の厚さが変わりますので響きを求めて調整してください。2拍目裏からは上行形が2声、下行形はGesからCまで下がる音しかありません。上行形はE音から上がるパートに比べてGis音スタートのパートがCl3・ACl・ASax2・TSax・Trp3・Trb1,2,3で若干少なめです。上下のバランスが同じくらいの音量を目指してください。
・10小節目のコンデンススコアを見るとF音の連続があります。調べてみるとTimpだけです。和声と考えるには苦しいので、打音として捉えた方が良いでしょう。
★ E~Fまで
・Pomposo(華麗に)とD部分をさらに広げていく構造になっています。さらにユニゾン、2声、3声が目まぐるしく変化していきます。
① 1~4小節のFl・Picc・Obのトリルを①としましょう。トリルは6連符のつもりで演奏し、最後の1拍は5連符または記譜したら8分音符の形にして、B音で終わるようにしましょう。その方が3拍目の6連符のスケールに無理なく移動できるでしょう。
② ClとTrpは最初の音が3声、2拍目裏の8分音符は2声、3拍目からユニゾンになり、4小節目1拍目裏から再び2声になります。声部が少なくなればなるほど音は増幅して聴こえます。特にユニゾンは強く感じますので、人数を減らして音程のリスクも回避してください。特に3小節目はClの音が高いので特に気を付けてください。また、AClはTrbと同じリズムで動いていますが、1小節目2拍目裏の8分音符の部分ではCl群の中で唯一B音を奏しています。AClがない場合、この小節だけでもClで補充したほうが良いのではないかと思います。
③ A&TSaxとHrnは冒頭だけ3声で3小節目までユニゾン、4小節目は3声になります。Hrnの2拍目裏は細かい3連符になりますが、これもどのくらい聴こえて欲しいのか、検討してください。
④ Trbは6小節間3声の和音を作っています。3小節目のTrb3は唯一Ges音を演奏しています。バランスに気を付けてください。また5小節目からHrnがこのグループに移行し6小節目2拍目裏から独立した動きになります。Hrnのバランスについては特に気を付けた方が良いでしょう。
⑤ BassはPercとも連動しておりバランス的には問題ありません。強すぎないかだけ確認してください。
・D部分同様、①~⑤のそれぞれのパートでバランスを取ったうえで、合奏のバランスを整えてください。
・6小節目のcrescは各部分で始まりの位置が違います。正確にcrescを始めてください。
★ F~Gまで
・Tempestoso(嵐のように)、Ariaの前の最も激しい部分です。和音も最も複雑になり、ユニゾンから4声までありますので、響き作りに気を付けてください。ここで複雑な和声の響きを作らないと、ただ力任せの乱暴な音楽になってしまいます。
・冒頭の和音の響き作りは綿密に行ってください。Bass音を含めB音が最も多く、次いでG音になっています。Es音はTrb1,2にしかありませんので、B音に飲み込まれてしまわないよう気を付けてください。
・ClとASaxの動きは基本的に2声です。2小節目2拍目裏でTrp他が加わり、4小節目の2拍目裏ではさらにFl・Picc・Obも加わります。2声部分は上下のバランスが等しくなるよう狙えば良いでしょう。問題は3小節目の1拍目です。ここだけユニゾンになっていますので、流れが壊れていないかどうか検討してください。
・1小節目2拍目までのASax2とTSaxに注目してください。ASaxの方がリズムが細かくなっていますが、拍の頭は同じ音です。ASaxにとっては音が低いので、困難であれば2拍だけはTSaxと交換する方法があります。
・Trbと2,4小節のHrnはBassと共に3∻声の和声を作っています。ここの和音はこの曲の中で最も複雑です。一つ一つ響きの確認をしましょう。
・5~6小節目は全体で響きの確認をしてください。7小節目の頭がクライマックスになるようにcrescの方法も考えなければなりません。前半部分の聞かせどころになると思いますので、和音バランスを慎重に整えてください。6小節目3拍目は全体が4分音符で動きがない中、TimpとTomTomだけが動いています。2つのPercの音をかき消すほど強くなりすぎず、この3拍目から7小節目の1拍目にかけて音が広がるように処理すればいいのではないかと思います。
・7,8小節のD₇の和音は問題があります。セブンスの響きを出すためにC音は必須ですが、奏しているのはTrb3とAClだけです。AClがない場合、Clでの補充は必須と思われます。
・decrescは8小節目だけに掛かっています。しかし、7小節目の減衰が必要にはならないでしょうか?7小節目にはTimpとSDに細かい動きがあります。これが明瞭に聴こえるようにしてください。そのために全体の音量を絞る必要があるかどうか、それから7,8小節のSus CymbとBDのcrescの動きが聴こえるかどうかを検討してください。
★ G~Hまで
・嵐が過ぎ去り抒情的なAria になります。直前までとの対比を表現する必要がありますが、Sus Cymbが響く中、Tuttiでも良いと書いてあっても、数人の奏者の四重奏になります。静かなイメージは必要ですが、弱奏しすぎて貧弱にならないように気を付けてください。
・最初の5小節のバランスを取るときは、Trp1とTrb2の対比、Trp2とTrb1の対比を重要視してください。この二つのグループがそれぞれ同じくらいの音量になることが大切でしょう。6,7小節はTrp2とTrb1,2 のバランスを取り、その上にTrp1が浮き出るイメージ、8小節目はTrp同士でバランスを取って、3拍目のTrb2はタイにするのか4分音符を聴かせるのか選んでください。
★ H~Iまで
・G部分のヴァリエーションのような形で始まります。楽器が増えているので、少し展開したヴァリエーションになります。このようなゆったりとした抒情的な部分でバランスを取るとき、以下の点に気を付けてください。 ① 音が隣に進行(順次進行)するときは、和声を変えているという認識を持ちましょう。 ② 他のパートの動きがなくて特定のパートだけ動きがある場合は、変化を加えているパートだという認識を持って強調しましょう。 ③ 臨時記号の付いた音は、やはり和声の変化を表す場合が多いです。 ・とりあえず、上記の部分をチェックしてください。メロディが主役なのは間違いありませんが、例えば1小節目の低音2,3拍目の動きや、2小節目G→Gisへ変化してGコードからEコードに変化させた音などに注意を払いましょう。
・7小節目のcrescは音が変化するタイミングで掛けるようにすると滑らかになります。ただし付点2分のパートは困りますので、拍毎に1,2,3と数えてcrescしてみてください。
・un poco ritは3拍目のみ掛けてください。6連符の動きを揃え、8小節目に進行しましょう。8小節目は不安定な和音で終了します。特にHからEに変化する高音域と下のCis音は大切にしてください。
★ I~Jまで
・最初の4小節はEupからCl1に繋ぐsoloと伴奏の形になっており、同一の動きが和声を奏することはありません。2小節目までは動きが2種類だけですが、気を付けたいのは1小節目2拍目裏のC音、3拍目裏のA音、2小節目3拍目頭のG音のように1種類しか音がない瞬間です。濁りは禁物です。
・3,4小節はバランスに気を付けてください。最も聴かせたいCl1はsoloです。しかし、Cl3・ACl・TSax・Hrn2・Eupは5パートもあり、Cl2・ASax2・Hrn3は3パート、Bassは4パートあります。
・3小節目3拍目の頭は多少テンポを揺らしても良いので、E音とG音の響きを確認、4小節目3拍目はD音のユニゾンを確認した後で6連符の2つ目の音からの動きを作ってください。ここまで丁寧な音作りが求められます。
・5小節目のa tempoに入るとFl・Picc・Ob・Cl・ASax1はユニゾンでかなり人数は多いと思われます。それに対して2分音符でスタートするのはE音で始まるBass、G音で始まるTSax・Hrn1&2、C音で始まるACl・ASax2・Hrn3は3つのパートで3声の和声を構成しています。TrpとTrbのリズムは6小節目が3声で同じ音ですが、8小節目はTrp3だけがE音を奏しており4声になっています。音量は、最も強いメロディのグループが同じ音ですので問題ないと思われますが、変化があったことは考慮すべきだと思われます。
・この部分のcrescやdecrescは一斉に同じ動きをします。音量の増大や減少は、音が動くタイミングで行うのが効果的だと思います。音を伸ばす部分はPercに音量の増減を任せるとスッキリするのではないかと思います。
・全体の音量の頂点は10小節目頭です。ここはG音が多すぎるので要注意です。むしろ人数の少ないE音のACl・ASax2・Hrn1&3はその後に聴かせるべき動きがありますので、バランスには注意してください。a tempoに入った部分ではAClがなければCl3全体をAClの音に補強して入れた方が良いかもしれません。
・12小節目の最後は全員の音が確実に消えるように注意してください。一瞬無音になった後、PercのみでPolonaiseのリズムがスタートします。
★ J~Kまで
・最初の小節まではTimpとSDのみのリズムです。Polonaiseであることを意識して1拍目に強拍を持って行ってください。
・6小節目までは完全なユニゾンです。その後、メロディ部分の人数が増えてもユニゾンで奏されます。
・7小節目、HrnとTubaは1パートしかいない状態で4声を作ります。ここと8小節目は和声が作られていることが重要だと思われますので、メロディとの音量の対比を研究してください。
・9,10小節は和声の人数が急増します。響きはしっかり作れるようになりますが、Trp2が2拍目、Trp1が3拍目のアウフタクトのような形でそれぞれEs音、B音を奏しています。この短い音は他の楽器で奏されていませんので、はっきり主張してください。
・10小節目1拍目から2拍目の和声はシンプルな和音の解決になっています。G→Fisに進行するパートが大切です。しっかり響きを作ってください。
★ K~Lまで
・最初の2小節、Fl・Picc・Ob・Clの半音階のパートはユニゾンです。人数が多く、音が高いので、音程のリスクも考え少し削ったほうが良いのではないかと思います。トリルは最後D音で終わってA音に移動したほうがスムーズでしょう。
・Fg・ACl・A&TSax・Trp・Eupのメロディ群も最初の2小節はユニゾンです。ここの人数も多すぎないか検討してください。
・上記の2グループは3小節目1拍目に合流しユニゾンで演奏します。この拍だけ急激に人数が増えます。2拍目から4小節目までは3声に分かれますので、1拍目の音量調整は必須だと思われます。
・1小節目1拍目のHrnは2声になっています。人数の多い上記の2グループは共にD音から始まっており、それと和声を作るようにG音とB音です。和声グループのTrbパートとBassパートを含め和声が作れているかどうか検証してください。2拍目裏からはユニゾンになりますが、Hrnだけしかありませんので埋もれないように気を付けてください。
・TrbはSDと共に3声でPolonaiseのリズムを表現しなければなりません。このパートもBassとSD以外のPercも合奏の中でしっかり主張してください。
・3小節目はHrnとBassが一緒に4声の和音を作ります。3拍目でEs音を演奏するのはTrb2だけです。和声をしっかり作ってください。
・3小節目のTrbは相変わらず3声でPolonaiseのリズムを奏しています。3拍目裏のTrb2のC音も1パートだけです。響きをしっかり保ってください。
・4小節目はHrnとTrbの動きが一緒になってB♭の素直な和音で解決しています。メロディグループも3声になっているため、この響きは確実に美しく響かせてください。その響きの中をBassが動いていくイメージで奏してください。
・5小節目アウフタクトからのメロディパートは人数が少ないので他のパートを阻害することは考えにくいですが、6小節目2拍目裏からPicc・Fl・EsCl・Cl3・Trpが加わります。ユニゾンのままです。他のパートとのバランス調整が必要だと思われます。
・5~6小節のHrnのユニゾンはメロディの人数が少ないので問題ないと思われます。 5小節目からのPolonaiseのパートは若干疑問が残ります。Trbが基本になり3声の和声を作っています。そこにACl・TSax・Eupが加わるのですが、加わったパートは全てTrb1と同じ音です。そのためTrb2,3の音は1パートだけになります。7,8小節目にはHrnが加わり3声で演奏してくれますが、この2パートは薄過ぎます。Eupでも同じ音を吹いているなら、Trb1は2か3の助っ人に回したいくらいです。特に顕著なのが6小節目で、すべてD音のため和音を変化させている2nd,3rdの方が必要だと思います。
・8小節目3拍目は和音をGmのコードに解決させたいのですが、G音が多過ぎます。B音はHrn2とTrb3、D音はHrn3とTrb2の2パートしかないことを把握しておいてください。
・8小節目2拍目の木管のトリルは装飾音を含め6連符で処理するとスムーズにG音に移行します。和音が解決したらPercの3連符が残ります。これを明確に聴こえさせるためにも終わり方を綺麗にそろえることが大切です。
★ L~Mまで
・今度は曲の終わりに向けてのTempestosoです。特徴としては高音域と低音域がそれぞれ半音で進行していること。間に挟まる和音は、減5度や増4度という響きにくい音程が連続しています。3小節目3拍目から4小節目にかけて素直な和音になりますが、再び5小節目から複雑な和音が連続します。不安定な和音は、バランスを取っても何とか響くかなというイメージにしかなりません。だからと言っていい加減な響きのままにしておくと混沌が続くような印象になります。だましだましバランスを取りますが、素直な和音が続く4拍だけは急に美しい印象にすると演奏効果が上がります。
・上にも書いたように高音域は1拍単位で半音ずつ上行し、逆に低音域は半音ずつ下行します。和音が密集している印象から上下に広がる印象をイメージして響きを作ってください。
・上行するClとASaxは2小節目の終わりにTrpの力も借りて3拍目裏のアクセントで一旦終わります。4小節目終わりも同様ですが、Fl・Picc・Ob・Trp1も加わり2声に膨らみます。さらに6小節目2拍目から3拍目への進行は、半音の形が崩れています。2小節ごとの展開になっていますので、この単位で練習してください。
・crescの方法は、上記のように2小節単位になっていることに注目して、2小節目のラストより3小節目の頭を抑えて、4小節目のラストより5小節目頭を抑えて、再スタートのイメージにしてください。最後だけ練習番号Mの頭を到達点にすることで結論が出るでしょう。
・1小節目だけとらえても、1拍目はA音⇔Es音、2拍目はGis音⇔D音、3拍目はH音⇔Es音というように減5度、増4度という不安定な音が連続します。音量のバランスを取りながら何とか響きを作るのですが、3小節目3拍目から若干響きやすくなります。この時に響きを美しくし、前後との違いを出すのが聴かせ方になると思います。特に4小節目のラストの音はA♭₇のコードになっていますが、C音が少ないので気を付けてください。6小節目のラストもD₇のコードですが、A音はTSaxとTrp3にしかありません。補強を考えましょう。
・6小節目3拍目はかなり強い音になっていると思いますが、TimpとTomTomは動きをしっかりと主張してください。
★ M~最後まで
・1~3小節のFl・Piccの高音のG-Aトリルは、前述したように大変困難なトリルです。無理をせずできるだけ人数を減らしましょう。
・1小節目頭のGコードの和音は大変単純な和音です。複雑な和音から解決した瞬間の響きは楽団の実力の発揮場所だと思ってください。
・BassはG音のみ、2小節目1拍目が3連符のパートはユニゾン、トリルももちろんユニゾン、それに対してTrpとObの2分音符スタートのパートとTrb・Eupが和声を奏しています。まずは響き作りを重視してください。多少複雑な和音が挟まりますが、1,4小節目はGの3和音になります。4小節目はD音がTrp1とOb(一瞬だけTrb1も)と少ないのでバランスを取って、ここはGコードを美しく響かせることに力を入れてください。ラストの小節はその結果G音とPercだけになります。Gコードを演奏する瞬間がffやsffzで和音の到達点になっていることを意識しましょう。
次は、課題曲Ⅰを解説したいと思います。
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